野良猫の居場所

久しぶりに野良猫のいる公園に行ってみたら、こんな看板が置かれていた。
　

…やはり一般的に考えればそうなるのであろう。
この公園の野良猫に餌を与えに来る人間が何人もいる事は分かっていたし、実際、
自分もそういう人達と一緒に野良猫を撫でたりもしていた。
おそらく自分を含め、この公園に猫を可愛がるためにやって来る人のほとんどは、
野良猫たちが様々な理由で姿を消して行く現実を目の当たりにはしていない。
公園を管理する町役場の人間は少なからず、その理由を実感しているのだろう。
看板の内容はまったくその通りだし、反論はできない。
　
以前にも自分の記事で書いたが（サイドバー参照）野良猫は野良と言っても野生の
動物ではない。飼猫同様、誰かのペットとしてしか存在できないのである。
つまりこの公園で言えば、不特定多数の人間が公園で勝手に猫を飼っているという
事になる。しかし、誰も自分が「飼主」だと言う認識は持っていない。
その結果、曖昧な飼主によって野良猫は生き長らえ、そして無責任な飼主によって
行き場の無くなった野良猫たちが次々と処分される。
　
地域ぐるみで野良猫を管理する「地域猫」という方法も存在するが、それにも限界
がある。全国で野良猫が産み続ける子猫の数は膨大で、それを捨てに来る人間が後
を絶たないからだ。すべてを「地域猫」として存在させるには、地域住民との理解
や費用の面からも難しいと言うのが本音だろう。
生まれてくる野良猫に最後まで生きるチャンスを与えるのが道理ではある。しかし
それが野良猫に無闇に餌を与えて良いと言う理由にはならない。
現実に救えない猫が増え続ける以上、今はそれを抑制するしかないのだ。
　

この日は「ヤンキー」な猫に会えた。相変わらずカメラを向けるとモデルポーズ。
　
少し前の記事で、いつもコヤツから片時も離れずにいた子猫の姿がなかった。
成長して独り立ちしたのか、誰かに貰われて行ったのか、それとも…
あまり悪い方には考えたくないのだが、これまで、このブログで写真を公開して来た
野良猫のうち、姿を見せなくなった猫の数も少なくない。現実的に考えて、人間に
貰われて行く可能性はごく僅かだ…。

看板にある「野良猫のまま一生を送るかわいそうな猫」とは、正確には「一生を送る」
ではなく、理不尽に「一生を終える」猫にほかならない。
自分のブログの写真の様に、和やかな野良猫の姿ばかりが当然に思えてしまうのだが、
その影にある現実を、決して忘れてはならないのだと思う。

タグ：野良猫 猫 写真 地域猫

コメント 4

本当にBonoさんのおっしゃるとおりですね。
難しい問題ですね。
かわいいから飼う、いらなくなったから捨てる、野良ちゃんがいるとかわいいからエサをあげる、でも家で飼いたいと思うほどでは・・・という、すべて人間の勝手から生じた事態ですね。
私自身も、ネコは好きですが実際に飼ったことがなく、野良ちゃんをかまって遊ぶほうが気楽という気持ちになってしまっているので、反省しています。

by tanuki (2009-10-17 11:23) 

猫がたくさん子供を産む理由は、もともと野生の動物の様に天敵による生存競争が厳しいと言う自然の摂理があったから。
人間はそんな猫たちの野生の部分を「処分」という形でコントロールしている訳ですが、それは自然の摂理とは程遠い、愛玩動物の命がまるで玩具（おもちゃ）の様に軽々しく捨てられる感覚に慣れてしまう事に、人間はもっと危惧しなければならないのだとも思います。

by Bono (2009-10-31 19:49) 

近所に地域猫が居て朝・夜と猫専用のエサをあげてますが、富士市の公園へ行きましたが、そこで動物を捨てることは犯罪です！捨てたら罰金50万円以下で虐待したら100万円以下の罰金という看板を見つけました。
by 智太郎 (2011-06-17 21:10) 

全国的に自治体の条例で罰則が厳しくなったようですね。
手に負えなくなって捨てる事と、虐待する事とでは、問題の意味合いも違って見えますが、結局、餓死する可能性がある事を承知で捨てる事は、ある意味虐待行為とも言えます。
いずれにせよ、金額（罰金）でしか動物の命の重さを感じられない人間は悲しすぎます…。

by Bono (2011-08-21 11:55)